よくお客様から 『 雪華肉製品が安いので、安すぎるので・・・・・どうして?』 との内容や、または、それに近いお問い合わせを頂くことがあります。
今年2009年になってからは、「GIGAZINE」のサイトで、広島の (有)渡部商事さんでつくられた雪華肉のステーキ製品について、店頭価格や調理動画と合わせて、商品についての感想を↓ブログ風レポートにされていました。
2枚で498円という超激安サーロインステーキの秘密を探ってみた
- GIGAZINE
『超激安なステーキ商品(加工品)だが、実際どの程度の食品なのか?』 という趣旨の元 書かれた様に思います。
(価格的に加工品として心配な気持ちになるんだろうな と思いました。)
何にも知らない懐疑的なお客様にあっては、『きっと捨てる様な食肉を材料に加工しているから、材料原価0円で、加工費+儲け イコール 商品価格なんだ!』 と思っている方もいるかも知れません。
オイオイ! ホントにそうなら、それ自体、食品加工を専業にしている当社にとって大事件になってしまいますョ。
お客様の気になる部分/安価になる訳(最大の要因)を、いくつかにわけて、分かり易くご報告致しましょう。
その1 材料肉の仕入れ価格自体が安い事を理解してください。
同じお肉でも、末端のお客様が、お店で買う時のお肉の値段と、当社の様な加工工場や、お肉屋さんが牛肉を仕入れる時の値段は違います。
例えば、スーパーさんで100g ¥500円で販売されている牛肉のステーキだったら、当社の様な加工工場では、食肉卸会社や取り扱い食品会社から、牛ロースのブロックの形状で、その価格の60%〜30%位の価格で、まとまった量で仕入れをしています。
末端のお客様と同じ価格で材料の牛肉自体を買っていません。
同じ価格だったら、加工する分の加工費や経費が上乗せになりますので、店頭価格のそれよりも高い商品価格になってしまいます。
当たり前の事ですが、食肉の流通価格・仕入れ価格を知らないお客様は結構いらっしゃいますので、ご注意ください。
その2 材料肉自体 安価なものを選んでいます。
一般の小売店や、スーパーさんの店頭では、販売出来ない硬い肉質の牛肉を主に材料にしています。
買ったお客様が、そのまま焼いたら、非常に硬くて、とてもじゃないけど食べられないほど硬い牛肉というのがあります。
国産牛、輸入牛肉どちらにも こういうランクの牛肉があります。
スジがあって硬いというのではなくて、赤身部分の肉自体が トッテモ×トッテモ硬い肉質の牛肉の事です。
こういう牛は、ヒレ部分はかろうじて商品として使えますが、それ以外は、挽肉などにして肉繊維を細かくして、ハンバーグの材料肉として利用するとか。
肉の形を残したまま利用するのなら、加熱をしないで食べる方がまだいくらかやわらかい状態なので、調理前にチャーシューブロックくらいにカットして、表面を焼いてローストビーフや牛のタタキにして、薄くスライスしてメニューに使うとか、。
どうしても加熱調理するメニューの場合なら、圧力釜で一定時間加熱調理しないと(レトルトカレー製品など)と食べられない様な硬い肉質の牛のお肉です。
只単に肉が硬いので、一般的に食肉流通価格(評価)が安いです。雪華肉のお肉は、そのままでは食べられない、こういう安い牛肉を材料に選んでいます。
理由は、雪華肉商品にした時、一般の牛肉を材料にするよりも競品価格が安くなるし、硬い肉でもやわらかく出来るからです。
実際の材料肉の価格は、普段みなさんが召し上がっている豚ロース肉等と同じ仕入れ価格くらい 〜 数百円高いくらいの価格です。 年間通して需給バランスで、多少変動はございますが、だいたいそのくらいの仕入れ価格の牛肉です。
(牛ヒレ等の高価な部位は除いて)
あと 硬い肉質の牛肉以外に、賞味期限が間近の鮮度の悪い牛肉というのも流通評価が安いですが、こういう牛肉は、雪華肉に加工しても品質が悪く、材料としては不可ですので使う事はありません。
その3 インジェクション加工の理屈で安くなります。
雪華肉は、ハム製品と同じインジェクション加工機械を使って加工をしています。
インジェクション加工というのは、ステンレス製の太い棒状の(直径4〜5ミリの)注射針に似た構造の針で、牛肉のかたまりの中に、液体を入れて加工する事です。
このインジェクションの機械の事を、インジェクターと呼び、その構造も特許などがあって、食品機械製造メーカーによって様々な、いろんなタイプがあります。
このインジェクション加工時の、肉の中に入れる調味液価格と、材料牛肉の価格のバランス(構成比)で、製品原価が決まります。 (高くなったり、安くなったりします)
例えば調味液を水として、価格を0円とすると分かり易いです。
1kg・¥1000の材料牛肉に、水を入れて加工したとします。
加工後1kgのお肉が、1.5kgになったとすると。
1kgの製品の構成比は
牛肉 : 1kg中 66.7% =価格¥667
水 : 1kg中 33.3% =価格 ¥0
上記になりますので、製品原価は、¥667+¥0で、1kg当り¥667 になります。
もともと1kg/¥1000の材料の牛肉が、 1kg/¥667になります。 ようするに ¥333安くなるわけです。
原価計算面で上記の様な物理的算出をしています。
調味液自体は、ホワイトソース風の調味液ですので、一般家庭でつくるホワイトソースの価格位で計算頂けると、宜しいかと思います。
上記を参考に、材料の牛肉が¥5000/kgだったとして、ホワイトソース風調味液が、¥300位/kgとして、出来上がりが1.5kgとすると、
牛肉 : 1kg中 66.7% =価格¥3333
調味液 : 1kg中 33.3% =価格 \ 100
製品価格原価は、¥3333+¥100=¥3433 になります。
もともと仕入原価1kg/¥5000が、1kg/¥1567安くなる訳です。
この上記の製品原価に、加工費と経費等が加算されて、商品価格となる訳です。
お客様に 美味しく、適度にやわらかい商品として提供する為に、材料の牛肉のランクや部位や種類によって、牛肉に入れる調味液の量を、都度 減らしたり、増やしたり調整しながら加工しますので、必ず1.5倍という事はなく、1.2倍〜1.7倍くらいの範囲での加工度(歩留り)調整をしています。
上記の調整/その材料の牛肉に調味液を入れる、丁度良い割合(%)によって、価格が安くなったり、高くなったりする訳です。
という事は、加工する材料の牛肉に調味液を沢山入れるほど、単純に価格が安くなる訳ですが、実は、そうは問屋が卸しません。
インジェクション牛肉の加工について、何も知らない食品業者や、末端ユーザー様は 「一般の安価なハム製品は、加熱前のインジェクション歩留まりを 200%以上に加工しているから、インジェクション牛肉も、そのくらい高歩留まりに 大きくつくっているんじゃない?」 とよく思われがちなのですが、現在のインジェクション加工牛肉の技術では、そんなに歩留まりを大きくすると製品を食べた時に美味しくならないのです。
調味液がどんなに美味しくても、加工した製品は、食感も 味も、とても不味い商品に変わってしまいます。
私が食べる側だったら、二度と買って食べたくないと感じる不味い品質になってしまいます。 (難しいんですね)
あと お客様がよく取り違い、誤解されていることでは、インジェクション加工は特殊な製造方法だから、特別にお金が掛かるとか思われる場合がありますが、ぜんぜんそんな事はございません。
当社では、製造中や全体の衛生管理に非常に気を配りますが、それは他の加工品と基本的に同じ事で、特殊な加工方法だから、その分加工費をのせて商品価格を高くするという事ありません。
その4 回剣猫油断では利益をのせないで、ギリ²で販売しています。
当社は、現在通販を専業として販売していません。
全国のお客様に対して、当社製品のご案内としての、お試し価格、サンプル価格程度の価格で商品を販売しています。
その為、他社の同様品と比べて安い訳です。
他社の通販サイトで、雪華肉が当社の販売価格の2〜10倍位で販売されていると思いますが、それは、通販業/商売としての利益を加算しているという事です。
当社はあくまでも、商品のご案内価格として、業務用流通価格程度で販売しています。
とっても大ざっぱな解説内容ですが、以上の理由にて「雪華肉」が安価にお出し出来ている訳です。
雪華肉は、低価格 且つ 高品質なインジェクション牛肉を目指していますので、比較する対象によっては、他社製品よりも業務用価格が高い場合があります。 高く感じる場合があります。
インジェクション加工牛肉の詳細をご説明するには、長くなりますので、とりあえず安価な理由については、上記ご査収の程ご理解ください。
★まとめ★
一般のお客様が知っている安価な牛肉よりも、肉質がとても硬いという理由で、末端市場の店頭等で販売される事のない、加工向け用の更に安価な牛肉がある事をご理解ください。
雪華肉は、そのままでは価値の見出せない、そういった硬い牛肉を材料にして、インジェクション加工をすることにより、やわらかい牛肉としてお客様に安価に提供する事を目的とした製品です。
追伸
加工しなくてもそのまま食べられる値段の牛肉を使って、やわらかく加工しても、材料の価格より思ったよりも安くならなくて、商品価値が出せない製品だったら、加工しないでそのまま調理して食べた方が、ぜんぜん良いと思います。
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by工場長
2009/9/28
改2014/1/12 |
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